トランジション・タウン(transition town)、トランジション・イニシアチヴ(transition initiative)、トランジション・モデル(transition model)とは、ピークオイルや気候破変動、経済不安などへの対応策として、大きなシステムに依存せずにローカルなつながりを大切にして、持続可能(サステナブル)で再生可能(リジェネラティヴ)な暮らしへと移行(トランジション)していく実践的な草の根コミュニティ・プロジェクトです。
トランジション・モデルは、持続可能な未来への「ロードマップ」として、エネルギー生産、健康、教育、経済、農業の分野で取り組む横断的なアクションプランです。これは、町、村、島など、さまざまな地域のタイプで実践することが出来ます。
地域でのトランジション運動は「トランジション・タウン」と呼ばれることが多いのですが、実際には「タウン」=「(行政区の)まち」という範囲や団体ではないトランジション運動もあることから、「トランジション・イニシアチヴ」(※トランジション・イニシアチブ、トランジション・イニシアティブなどのカナ表記もあり)という総称が用いられるようになりました。
英語の Initiative [ɪníʃəṭɪv] (イニシアチヴ/イニシアティヴ/イニシアチブ/イニシアティブ)という単語は、一般的には「主導権」や「自発性」などを意味します。
町の単位での地域コミュニティの「トランジション・タウン」をはじめ、それよりも大きな都市での「トランジション・シティ」、島での「トランジション・アイランド」、村での「トランジション・ヴィレッジ」あるいは、企業や学校でのトランジション活動など、トランジション・モデルを進めていくあらゆる規模や種類のグループを「トランジション・イニシアチヴ」(トランジション・イニシアチブ/トランジション・イニシアティブ)と呼びます。
最近では、オンライン・コミュニティを作りたいという方も増えてきています。また、学校や企業など、「タウン」という特定の地域での集まりでなくても、トランジション活動を自発的に進めていこうとするグループは、「トランジション・イニシアチヴ」宣言し、イニシアチヴ登録をすることができます。
トランジション・タウンは、2006年にイギリス南部の都市 トランジション・タウン・トットネス(Transition Town Totnes)から始まりました。2007年初めには、これらのプロジェクトの活動をサポートし、トレーニングをするための団体「トランジション・ネットワーク」が設立されました。
今では世界中で1000を超えるグループがトランジション・ネットワークにイニシアチヴ登録されています 。 トランジション・イニシアチヴは、イギリスをはじめ、ヨーロッパ、北米、オーストラリア、アジアなど世界各地に広がり続けています 。
日本では2009年に藤野(神奈川県相模原市緑区)、小金井(東京都小金井市)、葉山(神奈川県三浦郡葉山町)の3つのトランジション・タウンからスタートしました。当時のロブ・ホプキンス(※)のブログによれば、公式のトランジション・イニシアチヴとしては100番目だったそうです。
※ロブ・ホプキンス:トランジション・タウンの創始者
(Source: Celebrating the 100th Transition Initiative … Transition Fujino! | Transition Culture)
日本国内のトランジション・イニシアチヴ/トランジション・タウンは、これまでに累計で100以上が立ち上げ宣言し、今でも60以上が活動中です。(2020年12月現在)