トランジションタウンに関するよくある質問
Q. 自分にできることは何でしょうか? 立ち上げグループメンバーの集め方は?
A. もし、お住まいの地域でまだトランジションタウンの活動が始まっていなかったら、あなたが「いいだしっぺ」となって、まず小さなグループを立ち上げてみては いかがでしょうか。地元に知り合いがいなくても、考えの近い人が集まりそうなカフェ、イベントや勉強会、あるいはインターネットのブログ、掲示 板、コミュニティなどで呼びかけてみてもいいでしょう。まずは2人、仲間を見つけましょう。3人いれば楽しく始められるはずです。
Q. 具体的な進め方は? 必要なスキルは?
A. まずはあなたを含む最初の数名、「立ち上げグループ」の結束を固めるところからはじめましょう。ミーティングを開き、「何をやるか」を話す前に、おたがいの 自己紹介に時間をかけましょう。自分がなぜトランジションの活動に惹かれたのか、何をしたいと思っているのか、どんな未来、どんなジモトを夢見ているのか、時間を忘れてのめりこむほど大好きで、情熱を持てることはなにか、などをシェアし合います。1回のミーティングではとても時間がたりないかもしれません。初めの3回くらいのミーティングを、特に議題を決めず、自己紹介だけに費やしてもよいくらいです。そうすることで、具体的に動き出してからのおたがいのズレや気疲れが生じにくくなり、流れがスムーズになり、活動が持続可能なものになります。
次は徐々に、問題意識を共有するイベントの開催 や、ジモトでのネットワークづくり、ワーキンググループの立ち上げなどについて話し合い、活動をはじめます。負担が特定の人に偏らないようにおたがいに配 慮し合いながら、無理なく楽しくすすめるようにしましょう。草の根的な市民活動が陥りがちな失敗を避ける方法や、そのために役立つノウハウは、トランジ ションネットワーク、およびトランジションジャパンに常に蓄積されています。その最新バージョンを学ぶには、2日間のトランジショントレーニングを受講す るのもおすすめです。市民活動が苦手としがちな点、失敗しやすい部分をあらかじめ知っておくことで、活動の持続可能性が高まります。活動グループの中に2 人以上受講した人がいるとよりスムーズにすすめられるでしょう。
トランジションタウンの活動には、ミーティングの進行がうまい人、手先が器用な人、料理が上手な人、盛り上げ上手な人、会場設営が得意な人、美味しいお茶を入れられる人、デザインセンスのある人、場を和ませる人、昔の生活の知恵を知っている人、ITに強い人、顔が広い人、聞き上手な人……と、ありとあらゆるスキルが必要です。あなたが情熱をもって、みんなのためにやりたいことがあれば、ぜひそれをやってみてください。自分の得意技が生かせるプロジェクトが自分たちの活動の中になければ、あたらしくプロジェクトをつくってしまい ましょう。
Q. トランジションタウンを立ち上げる上での最適なサイズ、至適スケールは?
A. 一般的な目安としては人 口1万人くらいまで、だれでも自転車で回れるくらいの範囲が取り組みやすいようです。必ずしも既存の行政区域で区切らなくても、バイオリージョン(生態系のつながりから見た区域。たとえばある川の流域つながりなど)で考えてもいいでしょう。初めは小さな町内会サイズで始めたけれど、徐々に参加者が増えてい き、関連団体からの要望もあって、今は市というサイズで活動している例(TT小金井)もあります。
Q. どのように人とつながりを持てばよいですか? 継続することについてのテクニックはありますか?
A. 都会では人と人とのつながりが希薄になることもあるでしょう。一度不快なことが起り、もう二度と会わない。口もきかずにすます。気持ちの行き違いや誤解、不信感は修復を試みられることなくそのまま放置されるのがあたりまえのようになっています。その一方ではインターネットを使ってどんどん新しい出会いを求める……。
いわば、人間関係も使い捨て。地球の一部を「資源」と呼び、猛スピードで使い捨ててはかつての循環の智恵を忘れて「廃棄物」へと変えていっているのと同じ現象が、人間関係でも起きています。
トランジションは、自分の住んでいる場所で、顔の見えるつながりを取り戻す活動でもあります。これまでの調子で人間関係を使い捨てようと思ったら、いちいち夜逃げでもしなくてはいけませんよね。つまり、トランジションは、人との関係も「使い捨て型」から「循環型」をめざす場なのです。
グループの人間関係における無用のトラブルを避けるためには、単純なことですが、はじめにグループの合意事項をみんなで決め、新しいメンバーが増えるごとに確認することが有効でしょう。たとえば「時間厳守」「ミーティング中は携帯電話オフ」「おたがいの立場を思いやろう」「多様性を歓迎しよう」「何かがうまくいっ たら必ずお祝いをしよう」など。
ごくごく表面的なつきあいでないかぎり、人間関係には多くの場合、周期的に嵐の季節(混乱期)が訪れます。 なんだか最近意志の疎通がうまくいかない。おたがいの歯車がズレてきた。顔を合わせるとつい感情的になってしまう。あなたがそう感じはじめたとき、相手も 同じように感じていることが多いものです。しかし、この時期こそ、グループが次の段階へと成長するチャンス。その時期を逃げずに向かい合い、嵐の季節を乗 り越えることで、グループは新しい合意事項のもと、より結束の固まった、新たなステージへと移行します。
以上のことは知識として知っておくと役に立ちますが、本当の意味での深いつながりをもつためには、いつも自分の全人格と全誠意をもって相対することが必要です。
Q. トランジションは、故郷ではない場所(核家族?)で起こる場合が多いのでしょうか?
A. 今の日本では、生まれた場所ではない場所に住んでいる人が比較的多く、また、核家族の割合が高いですよね。つまり、トランジションタウンもそのような状況下で始まる場合が多い、ということになりそうです。トランジションは、今自分が住んでいるその場所ではじめる活動ですから。
トランジションタウンにかかわる人々の中には、「地域の人々や自然とのつながりのある生活を回復したい」という明確な意思を持ち、都会を離れて移住したり(Jターン、Iターン)、あるいは故郷に帰り(Uターン)活動をはじめた人たちも数多くいます。
またトランジションタウンの活動を知ったことがきっかけで、自分の故郷や離れて暮らす家族のことをより真剣に考えるようになり、故郷にUターンしてトランジション活動を継続したり、新しく開始したりする人も、今後増えてきそうです。
Q. (会社を辞めて参加されているとのことですが)活動資金はどこから出ているのですか?
活動している人はどのような仕事をしながらやっているのですか?
収入源が他にあるんでしょうか?
A. トランジションジャパンおよび各TTでは、イベントやワークショップを開催し、参加してくださったみなさんからいただいた参加費や資料代から場所代その他の必要経費を差し引いた残りを活動資金に充てています。それは実費として使われることがほとんどで、メンバーの収入源には今のところなっていません。
活動している人たちの中には、会社員、自営業、教師、子育て中、フリーランス、アーティスト、半農半X、リタイア組、とさまざまなライフスタイルの人たちがいますが、世の中の平均にくらべると、「会社を辞めた人」の比率は確かに高いと思います。
トランジションは大量生産・大量消費型の社会システムからのシフトを目指すものです。「お金がないと生きていけない」という強烈な刷り込みと決別し、自給自足や相互扶助をベースとしたライフスタイルへシフトしようとしている人が増えています。トランジションの仲間と地域通貨やコミュニティビジネスを立ち上げようとしている人たちもいます。
大量生産・大量消費型の社会システム(を支えている企業)から収入を得るライフスタイルからの離脱には、一 時的な経済的・精神的リスクを伴うでしょう。そのリスクを最小限に食い止めてくれるのが、トランジション的な価値……つまり、地域や大地とのつながり、助け合い、信頼関係です。お金の便利さとひきかえにわたしたちが失ってきたものを回復できれば、「システムを変えること」と、「会社を辞めること」を 同時に達成できるでしょう。今こそ、その過渡期、トランジション(移行)の時期だと思います。
Q. 政治とはどうつながっているのか? 行政へのアプローチをどうするのか?
A.
【政治に関して】
地域でトランジションの活動を始めると、さまざまなことがまわりで自然発生的に展開しはじめます。ことさらつながろうとしなくても、たいていそのうち、 地元の議員さんたちから声がかかるでしょう。イベントに参加者として来てくれたり、問合せのメールをくれたり。ぜひ積極的につながってサポートしてもら いたくなりますが、第3者的な視点から見たときに、特定の党派だけと結びついているように見えてしまうと、トランジションの活動自体が偏って見えてしまう可能性があります。イベントのゲストスピーカーなどになってもらう場合はバランス上の配慮が必要でしょう。海外ではすでにトランジション活動をしていた人たちの中から議員になった例もあります。
【行政に対して】
活動を始めると、行政サービスをうまく利用することが活動の大きなサポートになることに気づくでしょう。市町村区に団体登録することで、公報にイベントや 活動のお知らせを載せてもらえたり。市民活動用のサロンや事務所、会議室、印刷機などを無料で使わせてもらえたり。市の関係部署に積極的にかかわりをもつ と、そこから関連団体やジモトのキーパーソンを紹介してもらえたり、有用な情報が入ってきたり、有力なサポーターになってくれるはずです。どのくらい素晴 らしい仲間になってもらえるかは担当者の個性によるところも大きいですが、まずは環境関係や市民活動支援の窓口部署からアプローチしてみてはいかがでしょうか。
オープンスペーステクノロジーや、ワールドカフェをおこなうイベントなどに、議員さんや行政の方に招待状を出しましょう。タウンミーティングなどの機会があれば、市町村区長にトランジションの活動について アピールするのもよいでしょう。
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