2021年秋 ゆるキャン@聖高原 レポート

2021年9月18日(土)・19日(日)、台風14号が関東に上陸との予報の中、
気軽にゆるーく参加できるイベント『ゆるキャン』を長野県の聖高原キャンプ場で開催しました。

天候や社会情勢を考慮して、大々的な告知はせず、トランジションのメーリングリストでの案内のみでしたが、トランジションジャパンのメンバーに加えて、今回初めてトランジションを知ったという人から長年トランジション活動をしている方まで、多種多様なメンバーが集まりました。
参加してくださったみなさま、お心寄せくださったみなさまありがとうございました!

当日の様子を、参加者の田代 周平さんと、後藤 杏奈さんがレポートしてくれました。


9月の連休が始まろうという週末、トランジションの「ゆるキャン」に参加した。
普段あまりトランジションの活動に参加したことがない私たちにとっても、台風の予報を忘れてしまうくらい、その温かく自由な場に没入してしまう一泊二日だった。
まず印象的だったのは、チェックイン。
15人ほどの参加メンバーがそろい始めると、呼吸をするかのように自然と始まっていく。
ととのった人から、それぞれのタイミングで。
好きなロックバンドなど共通の趣味で盛り上がったり、知り合い同士は思い出話に花を咲かせたり。
「とっても楽しみにして来たんです」と笑顔の人もいれば、「日が暮れる前に、早く火起こしをしようよ」とやさしく催促する人がいたり。
まとまりがあるようでないような、拡散しながらも収束していくような、そんな空気が流れていた。
その日の夕食は、それぞれが持ち寄った食材で好きにつくる、というスタイル。
きのこのスープや“へべす“のサラダ、炭火焼のもちなど、多彩な料理を味わう。
とおもえば、素敵な歌声でギターの弾き語りを披露する音楽家・“エンターテイナー“や、焚き火を囲って怪談を始める“怪談コレクター“もいたり。
今回お会いしたある方と、自己が抱えるつらさや悲しみや痛みを分かちあう場が少ないこと、そういう場や文化を育むのが大切だということを、それぞれの人生体験をもとに深めていたら一時間以上経っていた、なんてこともあった。
突発的にどこでも深い話をできる雰囲気、お互いを受けいれているからこその“好き勝手“が、当たり前のように、そこにあった気がした。

翌朝、太陽の光と澄んだ空気が、標高1000mの聖湖を覆っていた。
この日は蚕都くらぶ「ま~ゆ」のお誘いで、上田にある「コラボ食堂」でお昼ご飯を食べることに。
お店に到着したときの温かいお迎えと歓迎の笑顔は、まるで家族の再会のよう。
ここでも、「場」の神経系が安寧と思いやりと自由を大切にしているような、心地いい時間が流れていた。

後日、二人でこのゆるキャンの記憶を辿っていたときに、「秩序」の話になった。
そのとき、生物学者の福岡伸一さんが言っていることを思い出した。
私たちが暮らす世界は、常に動的な状態にある。
砂も風もサンゴも鳥も、一種の秩序の中で生きているのだけど、その秩序は絶え間なく壊され続けている。
そうした「動的平衡」にある流れこそが、生命なのであると。
大げさかもしれないけれど、トランジションのゆるキャンはそういうものだった気がする。
それぞれが、ただやりたいことを、やりたいときに、やりたいだけやる。
そのダイナミックな営みの中でゆるしあい、受けいれあうことで、そこに豊かで多様な生命が宿っていく。
こんな素敵な機会とご縁をくださったトランジションの皆さんに、感謝の気持ちを込めて。

TEXT BY SHUHEI TASHIRO & ANNA GOTO


Thanks, Shuhei & Anna! トランジションの仲間たちならではの雰囲気が伝わる素敵なレポートをありがとうございます。
また今後も、心地よい季節と場所とタイミングで、トランジション『ゆるキャン』を開いていく予定です。お楽しみに♪